頼りになる?海外留学するなら知っておきたい日本大使館の役割
海外に留学するとき、最も頼りになるのが日本大使館です。大使館は、日本の外交関係を担う公的機関であり、留学生や渡航者のサポートを行ってくれる場所でもあります。現地で何らかのトラブルに巻き込まれた際、大使館はとても頼りになる存在です。今回は日本大使館の役割や外交特権、具体的なサポートなどについてまとめます。
大使館って何をするところ?
大使館とは、国を代表する外交官(特命全権大使)が相手国で公務を執行するときの拠点(在外公館)です。大使館の敷地は本国と同じとみなされます。
日本大使館の主な業務を一部紹介します。まず、相手国の政府と交渉し、外交ルールや国同士の約束事などについて話し合う外交交渉があります。相手国で何らかのトラブルに巻き込まれた日本人を助け出す交渉をするのも日本大使館の仕事の一つです。
次に、在留邦人や渡航者への情報提供という業務があります。大使館では、その国の情報を収集・分析して在留邦人や渡航者に伝えています。見ず知らずの外国で何も情報を取得せずに活動するのは非常に危険であるため、現地の大使館が常に最新情報を収集し、必要とする人に提供しています。これらの情報に基づき外務省では、「国・地域別の安全情報」を公開しています。
ビザの発給やパスポートの再発行も重要な仕事です。ビザは相手国が発行する入国許可証で、パスポートは日本政府が出す出入国に必要な身分証明書です。海外旅行をする上でビザもパスポートも必要不可欠であり、「命の次に大事」ともいわれます。
日本大使館は、万が一滞在国でビザやパスポートを紛失した時に、再発行手続きができる場所です。紛失に気づいたら、すぐに日本大使館に駆け込んで手続きをしましょう。
また、緊急時の対応も重要な業務です。大使館は日本人の生命や財産を保護することを使命の一つとしており、緊急時に真っ先に動く政府機関です。何者かに拉致されたり、生命を脅かされるような事件が起きたらすぐさま大使館に相談しましょう。ほかにも、大使館には自国文化の紹介や相手国との友好を保つ機能もあります。
大使館が持つ外交特権について
大使をはじめとする外交官には、一般外国人とは異なる特別待遇が与えられます。この待遇を外交特権といい、1961年に締結されたウィーン条約で定められました。この特権により、相手国の警察であっても、大使や公使の許可なく大使館に侵入することができません。
もちろん、勝手に公文書を差し押さえることや大使館の通信を傍受することなども禁じられています。それは、大使館がその国の領土と同じように扱われるからです。そのため、大使館ではその国の旗を掲げ、課税も免除されています。
ただし、相手国から見て好ましくない活動をする外交官は、「好ましくない人物(ペルソナ・ノン・グラータ)」として国外追放処分にされます。とはいっても、これはごく一部の例外であり、通常は外交特権が尊重されます。外交特権によって守られた日本大使館は、外国にありながら日本の法律で運営されることを認められている機関なのです。
どんなときに頼りになる?大使館が行っているサポートとは
留学中に大使館でしてもらえるサポートにはどのようなものがあるのでしょうか。
一つ目は各種書類の発行です。在留証明書や身分証明証、日本で犯罪歴がないことを証明する警察証明書、署名が本物であることを証明する署名証明書などを発行してもらえます。
二つ目はパスポートの申請発給や交付です。先述した通り、もしパスポートを紛失したら、急いで大使館で再発行の手続きを取りましょう。
三つ目は戸籍や国籍、婚姻届、出生届などの発行です。留学中に利用することはほぼありませんが、戸籍に関する書類も扱っていると覚えておけばよいでしょう。
四つ目が在外選挙人の登録です。日本国外に滞在したまま、衆議院選挙や参議院選挙といった国政選挙で投票することができます。その手続きを日本大使館で行います。
五つ目は安否確認です。自然災害や事件が発生したとき、その国に駐在する日本大使館の職員が安否確認を行っていますので、日本にいる人が在留邦人や渡航者の安全を知りたいときに問い合わせて確認することができます。
まとめ
今回は、留学するときに知っておきたい、日本大使館の役割についてまとめました。大使館は国を代表する公的機関であり、海外にいる日本人の生命や財産を守ってくれる頼もしい存在です。特にパスポートの紛失や海外で災害や事故に巻き込まれたとき、適切な情報を提供してくれるという点でも重要な存在です。
ただし、なんでもサポートしてくれるわけではありません。もともと危険な国である場合は大使館のサポートにも限界があります。日本大使館が集めた海外の情報をもとに、外務省は海外安全情報を公開しています。この情報で確認しながら、危険とされている国への渡航は避けるべきでしょう。
